「Celsius EC Solver」および「DataCenter Design Software and DataCenter Insight Platform」新機能のご紹介
ケイデンスは2023年2月に Celsius™ EC Solver (旧Future Facilities社 6SigmaET)とDataCenter Design Software and DataCenter Insight Platform™(旧 Future Facilities社 6SigmaDCX) の最新リリースを発表しました。
Celsius EC Solverは電子機器設計者向けの熱設計ツール、DataCenter Design Software and DataCenter Insight Platformはデータセンターのレイアウト検討や環境改善などの設計、キャパシティ管理などの運用を行うための解析ツールです。
本稿では各ツールに追加された新たな機能についてご紹介します。
Celsius EC Solver「CAD関連の機能を拡張」
Celsius EC Solverは最新リリースで、CADの読込み機能が大幅に強化されました。加えてCAD編集機能が追加されたことにより、GUI上でより複雑な形状を再現できます。
最新リリースからは、従来利用可能であった中間ファイルフォーマットのSTEPファイルやIGESファイルだけでなく、主要なCADファイルを直接読込むことが可能となり、それらのCADの形状を直接編集できるようになったことで、よりスムーズに設計の検討を行えます。
CAD編集機能では単にCADの形状を編集できるだけでなく、条件を設定して指定サイズ以下の穴などを一括で削除できる機能も搭載されており、より簡単に、素早く編集可能です(図1)。
図1. 簡易化オプションより指定した条件のフィーチャを一括削除
熱設計において、既存のCAD部品の開口部などを変更し、繰り返し評価を行う場合などは、その都度ソフトウェア間でのデータのやり取りが発生していました。今回の機能拡張により、その手間を省くことが可能となり、効率的に設計の検討が行えます。
DataCenter Insight Platform「インサイト機能を大幅に拡張」
DataCenter Insight Platformの最新リリースでは、インサイト機能に表示可能なデータが増え、各オブジェクトの解析結果も確認できるため、より詳細な分析が可能になりました。
インサイト機能のテーブルからは3Dで各オブジェクトの形状を確認し、必要に応じてすぐに3Dモデルへ移動できます。インサイト機能の情報を3Dモデルと合わせて確認することで、正確にデータセンターの状態を把握する手助けとなります。
解析結果やモニタリングデータ、データセンターのPUE(電力使用効率)、CO₂排出量などの変化を表にできるので、どのような変更がパフォーマンスに影響を与えるのかを理解し、改善できるかを予測することも可能です(図2)。
図2. PUE(電力使用効率)の時間推移
領域やケージといった部屋内の一部の範囲を指定するオブジェクトでは、表示できる項目が大幅に増え、電力や冷却能力に関する情報を詳細に確認できるようになりました。全体だけでなく、任意の範囲を詳細に評価することで、より綿密な運用計画を立てることができます(図3)。
図3. 拡張された領域概要のダッシュボード
DataCenter Insight Platform上で電源やネットワーク接続の情報を確認、設定することも可能になりました。PDU(分電盤)の盤構成を確認して、利用可能な電力の詳細を確認することや、デバイス間でのネットワーク接続を可視化し、ポートの利用状況を含めて機器の配置を検討することもできます(図4)。
図4. 新たにDataCenter Insight Platformに追加されたPDUの盤構成
DataCenter Design Software「1Dフローネットワークの機能拡張」
DataCenter Design Softwareの最新リリースでは、1Dフローネットワーク機能が拡張されました。新たにバッファタンク、冷却塔といったオブジェクトが追加され冷却水システムの再現性が向上し、複雑な冷却ネットワークをモデル化できます。
また、フローネットワーク上でACU(空冷装置)の稼働状況を設定できるようになりました。データセンターから冷却水へ移動する熱負荷を設定することで3Dモデルと接続しなくても検証が可能です。
得られた結果は、温度に加えて圧力損失、流量、流速などをパイプ/ダクトで確認することができ、設定した変数に合わせて色付けされ表示されます(図5)。
図5. 1Dフローネットワークによる冷媒経路のモデル化と結果表示
全ツール共通「拡張ビューの改善」
Celsius EC SolverとDataCenter Design Software and DataCenter Insight Platform共通して、拡張ビュー機能が改善され、モデル作成を行うユーザインタフェースの利便性が向上しています。
新たに追加されたオブジェクト選択ツールではカーソル位置にある全てのオブジェクトをリスト化できます。ビュー上で重なっているオブジェクトを素早く選択し、スムーズな作業を行うことが可能です。
詳細シートの各項目には簡単な説明が表示されるツールチップが追加され、使用頻度の少ないオブジェクトでもすぐに機能を理解することができます(図6)。
図6. 拡張ビューでのツールチップ表示
詳細テーブルの表示項目を専用のダイアログで編集することができるようになり、カスタマイズ性が向上しています。
まとめ
本稿では2023年2月に発表された「Celsius EC Solver」、「DataCenter Design Software and DataCenter Insight Platform」の新機能についてご紹介しました。
最新リリースでは以下の主だった機能が拡張されました。
- Celsius EC Solver「CAD関連の機能拡張」
- DataCenter Insight Platform「インサイト関連の機能拡張」
- DataCenter Design Software「1Dフローネットワークの機能拡張」
さらに全ツールに共通して、拡張ビューにあらたな機能も追加され、さらに利便性が向上しています。
Future Facilities Sales
Product Engineering Manager
磯辺 拓海
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