Large Language Model (LLM)による半導体設計の効率改善策の弊社対応のご紹介
Large Language Model (LLM) はここ一年で大きな影響を分野は問わず出しているということに皆様も異存がないと思います。その背景にTransformer と呼ばれる強力なモデルの構成がもたらしたこれまでにない自然な文章を生成できる能力に加えて、 Web Application の一つとしてWebブラウザベースのアクセス性の良いUIによってソフトウェアや人工知能を専門としない様々な方が触れるようになったことがあると思います。この結果、技術者を対象としたメディアだけに限らず、一般的なメディアや経済紙でも取り上げられることとなり広く知られる存在となりました。さらに日本国内の大手企業でも採用しているという記事も書かれるようになり、ソフトウェアの開発を行っている企業では実際に効率向上などの成果が出ているようです。
一方でご存知の通り課題もあるようです。主な点はLLMが生成した回答に嘘(ハルシネーション)が含まれる可能性が排除できない点、また、企業固有の情報をアップロードすることへの懸念などです。前者のハルシネーションに対してはサービスを運用している企業でも対策が検討されているようでモデルの出力などにガイドを作ったり、Web の検索が参照できたりしています。また、ユーザー側でも事実かどうかを判断するなどの対策をとる必要があります。そもそもソフトウェアコーディングに活用しているのであればコンパイラなどで生成されたコードの信憑性が確認できるため、他の分野よりも積極的に活用できるものと感じています。個人的に試した限りの話になってしまいますが、LLMで作りたいもの全部を一括で生成することは難しく、ベースとなるモジュール、クラスなどコンポーネントの一部をテンプレートのように生成し、そこからより実装へ向けて人間が進めていくような感じなのかと思います。コパイロット(副操縦士)という文言もLLMの活用が広まると同時に耳にするようになってきましたが、まさにそのような使い方が現実的なソリューションとなっているようです。一方で、データのアップロードに関する懸念はサービス側でエンタープライズ版や主要な既存サービスのバックエンドとして連携するなどの対策が取られてきています。そうはいっても残念ながらこの懸念点により導入できない状況も多々あると感じています。
既に AI を活用するためのプラットフォーム Joint Enterprize Data and AI (JedAI) Platform を展開させており、このプラットフォームでは検証、デバッグ、実装に関して AI を活用したソリューションをいくつか既にリリースしています。引き続き今後もこの分野へアプリケーションを追加していく予定です。
また、上記に加えて弊社としてもAI業界の流れに乗って LLM を積極的に活用するための検討を既に進めています。これにより今まで対応できていなかったデザイン作成に関しても LLM を中心にした生成 AIを使ってソリューションを展開する予定です。
具体的な活用シーンや、実装などを日本も含めたいくつかの企業と連携させて頂いて進めているところになります。今後の弊社からの続報に是非ご期待ください。
フィールドエンジニアリング&サービス本部
システム&ベリフィケーション
加藤木 聡
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