共通設計環境Stylusを使ってデジタル設計を効率化しませんか?
Cadence®デジタル設計ソリューションにおける一貫して統一されたユーザーインターフェースの設計環境Stylusをご紹介いたします。
従来のCadenceデジタル設計フローの中では、ツールが変わる毎にそれぞれのツールのユーザーインターフェースに合わせた実行環境をご準備していただく必要がありました。それはデザインやプロセスが変更になるたびに修正が必要になり、場合によっては同じ内容の設定をツールごとに書き分けるなど、ヒューマンエラーの起きやすいマニュアルでの作業も多く、多大な工数が必要になることもあったかと思います。
また、合成からサインオフまで広い視野での設計が必要な中、それぞれのツールが別々の形式で出力する結果、または実行条件ごとに出力する多種多様の結果を、比較評価するのに苦労されていることはないでしょうか?
設計が日々複雑化していく中、そのような手間を簡略化し、Cadenceデジタルツール間においてシームレスな環境で効率的に設計していただくのを目的に、共通設計環境Stylusをリリースいたしました。
Stylusを使用した設計効率化には、3つの手法があります。詳細は下記にご説明いたします。
① Common UI 一貫した共通ユーザーインターフェース
② Unified Metrics 共通の結果解析ユーティリティ
③ Flowkit Stylus推奨デザインフローの提案
2018年9月現在、Common UI / Unified Metricsをサポートしているツールは以下の通りです。
- Modus DFT Solution
- Genus™ Solution
- Innovus™ Implementation System
- Tempus™ Solution
- Voltus™ Solution
Flowkitをサポートしているツールは上記に加えて、以下の3つになります。
- Virtuoso® IPVS
- Quantus™ Extraction Solution
- Conformal® Technologies
Joules™ RTL Power SolutionとPegasus™ Physical Verification Solutionに関しては、本年度中のサポートを予定しています。
Common UI
Stylusの最も効果的な機能の一つが、Cadenceデザインツール間における一貫した共通ユーザーインターフェース、Common UIです。Common UIにより、デザインフローを通して、ツールの壁を越えたシームレスな設計が可能になりました。GUIの統一はもちろんのこと、従来のツール毎に異なるコマンドが統一されますので、各種設定ファイルを共通に持つことが可能になり、実行環境作成の工数の大幅な削減が図れます。また、共通インターフェースになることで、担当以外のツールでも直感的に使用していただくことができるため、解析の幅を大きく広げていただけます。
コマンドの共通化ではネーミングルールを定めました。必ず既定の動詞で始まり、“_”で単語をつなげるように統一しております。例えば、従来のデータの入力コマンドでは、restore、read、importなど様々な動詞が使われておりましたが、Common UIでは、“read_”に統一されます。
また、Common UIでのデーターベースアクセスコマンドは、コマンド名の統一はもちろん、検索可能な情報がさらに充実しました。解析用のオリジナルのスクリプトを沢山お持ちのTclerの皆様に多く試していただきたい機能です。
Common UIを使用するには、従来のUI(Legacy World)用に作成したスクリプトをCommon UIのコマンドに変換していただく必要があります。しかし、ご安心ください。一括変換コマンドや、対応コマンドの検索機能など、Stylus Common UIへの移行を補助する様々なUtユーティリティを用意しておりますので、安心して移行していただくことが可能です。
Stylus Common UIを使用するには、ツールの起動時にオプションの指定が必要になります。このオプションのコントロールで、引き続き従来のUI(Legacy World)もご使用していただける予定です。
Unified Metrics
Stylus導入の際に是非最初に使用していただきたい機能が、Unified Metricsです。実行スクリプトに簡単な設定を加えるだけで、フローを通して一貫した形式で実行結果を自動集計・出力する機能です。その結果は下記のようなhtmlで表示することができ、このhtml上で数値をグラフ化できますので、値の推移などを、ツールを立ち上げることなく、グラフィカルに確認・解析することが可能です。また、設定や条件を変えて実行した結果を並べて表示することができます。リファレンスに対しての改善・悪化率の表示や、改善・悪化項目のハイライトなど、様々な解析機能が備わっています。
ツールを立ち上げる必要がなく、軽いhtmlで操作できるため、設計者自身での結果確認はもちろん、リーダーの方のプロジェクトマネージメントにもご使用いただけると思っております。
Unified Metricsは従来のLegacy Worldでも使用できますので、Stylusへの本格移行の前に試していただくことも可能です。
Unified Metricsでは、フェーズ毎に標準で下記の項目の集計を行います。これらの項目をカスタマイズするコマンドも用意しています。
- ツールバージョン、実行ディレクトリ
- 実行時間、使用メモリ
- デザイン情報 (インスタンス数、デンシティ等)
- タイミング情報 (Setup/Hold違反、DRV等)
- クロック情報 (Latency、Skew、挿入バッファ数、配線長等)
- パワー情報 (Leakage/Switching/Total Power等)
- 配線情報 (DRC、配線長等)
Flowkit
Flowkitとは、RTL合成から検証までのフルフローにおいて、弊社の推奨フロースクリプトの雛形を出力するツールキットです。ツール名、プロセス、フローステップなどの必要事項を与えることで、フロー環境と実行スクリプトをダンプします。フローのカスタマイズや、ユーザーコンテンツも簡単に追加することが可能です。
Stylusの形式で出力しますので、Stylus初心者の方の導入にもご利用いただけます。
ご紹介したStylusの3つの機能を搭載したCadenceツールで合成からサインオフまでのフルフローを統一して、御社のデジタル設計フローの効率化をしませんか?
ご興味がある方は、担当AEに是非ご相談ください。
フィールドエンジニアリング&サービス本部
細江綾子
この記事に関する問い合せ先:
コーポレート・マーケティング部
E-mail:cdsj_info@cadence.com
Latest Issue
Archive
2023 Issues
2022 Issues
2021 Issues
2020 Issues