Palladium-Joulesによる高速・高精度なシステムレベルパワー解析の実現
SoC/ASIC設計の大規模化・複雑化に伴い、検証はもちろん、システムレベルのパワー解析も大きな課題となっています。
すなわち複雑なシステムレベルの動作におけるパワーを把握し、また場合によってはパワー削減の対策を行うことが必要ですが、大規模かつ非常に長い期間の動作パターンではパワー解析が困難になります。
この課題に対するソリューションとして、ケイデンスのエミュレーションシステムPalladiumとRTLパワー解析ツールJoulesを組み合わせることで、システムレベルでのパワー解析を高速・高精度に実行することができます。
Palladium-Joulesの特長
1. 高速・高精度なシステムレベルのパワー解析
Joulesはケイデンスの論理合成ツールGenus™ Synthesis Solutionの合成エンジンを搭載しており、プロトタイプ合成を高速に実施し、またレイアウトで行われるクロック・ツリー・バッファーや最適化で挿入されるバッファーを考慮することで合成・レイアウトを考慮した高精度なRTLパワー解析を行うことができます。
2. 大規模かつ長期間パターンの論理検証とパワー解析を実現
大規模かつ非常に長い期間の動作パターンは論理シミュレータでは実行時間が非常にかかりますが、ハードウェアエミュレータであるPalladiumでは短時間で検証できます。
これをJoulesと連携させることで、システムレベルの論理検証とパワー解析を高速に行うことができます。
3. シームレスな解析環境
JoulesではPalladiumから出力される波形データベースファイル(PHYファイル)をダイレクトインターフェイスすることで、途中のファイル変換を必要とせず、フローが簡素化されます。
また、CPU分散処理対応により高速に読み込みが可能になります。
4. システムレベルでのピークパワー検出
従来の全体の区間に対するアベレージパワー解析では、動作パターンによって変化するパワーの推移を確認することができず、ピークパワーの検出も不可能でした。
Joulesでは全体の区間を時間分割してパワー解析を行うタイムベース解析機能により、ピークパワーの検出が可能になります。
パワー解析結果は数値だけでなく、波形表示することもできるため、Simvisionで動作パターンとパワー波形を同時表示させ、パターンとパワーの相関性を確認することができます。
また、パワー解析結果に問題がある場合には、豊富なデバッグ機能を使うことで早期にRTL修正やシーケンスの見直しが可能になり、ローパワー化に寄与いたします。
5. パイプラインフローによるより高速なパワー解析環境
非常に長い期間の動作パターンを実行する際、全期間終了後にJoulesを実行するのではなく、一定期間間隔ごとにPHYファイルを分割出力し、出力完了したPHYファイルから順次Joulesを実行することで、Joulesが並列に各PHYファイルを処理し、大幅な実行時間短縮が可能です。
おわりに
Palladium-Joulesにより、これまで困難だった大規模・複雑なデザインのシステムレベルパワー解析が可能になります。
また、Palladiumの検証機能とJoulesのパワー解析結果を連動させることで、動作パターンとパワーの相関性を確認でき、早期にRTL修正やシーケンス変更も可能になります。
是非、Palladium-Joulesによるシステムレベルパワー解析機能を体感してください。
フィールドエンジニアリング&サービス本部
櫻井 洋行
この記事に関する問い合せ先:
コーポレート・マーケティング部
E-mail:cdsj_info@cadence.com
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