東アジアのお客様は英語の資料を要求してきましたよ
みなさんは、英語、または中国語や韓国語などの語学スキル、今後必要だと思いますか?
つい先日、新卒時に入った日本のメーカーの同期の6人と、赴任でアメリカに4年近く働いて居る仲間が一時帰国するというので集まりました。帰国中の友人は、今年の秋に家族を連れて帰任するので、英語を話す小学生の娘のために帰国子女を受け入れる学校を探しているようでした。一人が、日本人だからやっぱり日本語だし、英語を今更勉強したくないというコメントをしていました。それをきっかけに、「日本人に英語は必要なのか?」を議論しました。
私は、その会社に勤務していた当時、特に外国人に見せる予定もないのに技術会議の発表資料や仕様書等をたまに英語で作っていました。私以外に、わざわざ英語で資料を作成している人を見たこともなく、こんな私はかなりの変態だったと思います。幸い、誰にも英語の資料だとダメだとも言われませんでした。現在の職場では、外国の同僚やお客様と仕事をすることが多く、英語で資料を作り説明をすることも多いので、過去の積み重ねが今とても役に立っています。
私が検証を本格的にやりだしたのは2002年頃で、当時は Verisity社(現在は弊社)のSpecman®を学び、実際に複数のSOCプロジェクトで運用し成果もだしていました。ツールの資料はもちろん英語で、eVC (e Verification Component)と呼ばれるVIP (Verification IP) の使い方、eRM (e Reuse Methodology)と呼ばれるメソドロジーも全て英語資料だけを読んで、当時一緒に学ぶ仲間もいましたが、ほぼ独学で習得しました。2008年ごろから使いだしたJasperGold® の場合は、独学では無理で、アメリカのAEたちと積極的にコミュニケーションをとってフォーマル独特の検証メソドロジーを学びました。どちらも、英語ができなければ、達成できなかったかもしれません。振り返ると、その当時の私の周りで検証が得意な人の多くは、偶然かもしれませんが比較的英語が得意で、これらツールやメソドロジーを学ぶ上で、英語が障害になることはあまりなかったと記憶しています。
当時所属していた日本の会社では、何度か社内異動を経験し、いろいろな組織やグループを見るうちに、英語力不足が原因の一つで新しいツールやメソドロジーが導入できない問題も、見てきました。その場合、EDAベンダーには、「資料はなるべく日本語でください」とお願いしていました。
現在、私はそのEDA業界にいます。最近は、アジア・パシフィックをサポートする機会が多いです。もともと日本のお客様向けに作った日本語で書いた資料を、2度ほど東アジアのお客様に紹介するケースがありました。紹介した時点でまだ日本語でしたが、概要を英語で説明し、興味があれば彼らの言語に翻訳する提案をしました。お客様の社内で展開して頂きたいので、その方が良いと思ったからです。でも、両方のお客様とも、「英語に訳して欲しい」と要求してきました。日本では、「英語の資料を日本語に訳して欲しい」という要求が一般的なので、東アジアのお客様の方が、日本の現場よりも、英語を普段業務に受け入れる姿勢があると感じました。
私も、日本の会社に入った当時は、「エンジニアはC言語でも、またはフローチャートや回路図とか絵を描けば、外国人と会話できるから、英語ができなくても大丈夫」なんて事を言いながら、先輩や後輩、友人たちと一緒に笑っていた一人です。実際は、仕事で英語を使う環境にいると、言葉が障害となる状況をたくさん経験しました。今も苦労をしています。日本人同士で、日本語で仕事をしていても、話が噛み合わなかったり理解できなかったり、理解してもらうことが難しい事、ありますよね?まして、日本語を話さない相手と、様々な状況(一緒に仕様を決める/スケジュール遅延対策を議論する/技術的にどちらもありの状況で自分の案を売り込む/背景をまだシェアできていない相手に30分で課題と対策をシェアする、etc.)で仕事をする場面では、明らかにコミュニケーションの品質や効率は悪化します。電子立国日本とか Japan As No.1 と言われた時代で外国人が日本語を話しくれた時代ならまだしも、今だからこそ、技術者のスキルの一つとしても、語学力は重要だと思います。英語を仕事現場で使うモチベーションに関して言えば、私が接してきた日本と急成長を続ける東アジアのお客様では、少々ギャップがあることをお伝えしたかったので、今回この記事を書きました。
こういう話をすると「英語が話せても仕事ができなければ意味がない」という意見も聞こえてきますが、そもそも仕事ができないは別の問題ですよね。仕事もできて、英語もできる方が良くないですか?もちろん、英語以外の中国語や韓国語でも良いと思います。私の同僚に、英語、日本語、韓国語、中国語を話せる動作合成ツール StratusTMのエキスパートがいます。とても羨ましいです。
以上は、個人的な感想と体験談です。これからも、日本のお客様向けには、できるかぎり日本語で対応させて頂きますので、ご安心ください。もちろん、受講者は全員日本人だけど、英語で技術セミナーをしてほしいという面白いご要望にも、可能な限り対応させて頂きます。こういうセミナーは、今後増えてくるかもしれませんね。
フィールドエンジニアリング&サービス本部
Jasper R&D, Sr Principal Product Engineer
渡口 和信
この記事に関する問い合せ先:
コーポレート・マーケティング部
E-mail:cdsj_info@cadence.com
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