ケイデンス機能検証セミナー 2019開催レポート
エッジ端末の高度化やクラウド/データセンターの展開、自動車をはじめとする機能安全要求やセキュリティ対応と、これらすべてを包含した機械学習/AI化という世の中の流れに対し、その実装のための解をLSIに求めることはあたかも常識のように行われ、膨大なデータを取り扱う複雑なLSIを短工期かつ高品質に開発するという高いゴールを求められています。このゴールを達成する一助として、ケイデンスは機能・論理検証ソリューションCadence Verification Suiteをご提案しておりますが、このソリューションについて最新情報をご紹介するために、2019年10月18日に新横浜にて機能検証に特化した1日セミナー「ケイデンス機能検証セミナー 2019」を実施いたしました。
セミナーでは、お客様の事例紹介3件およびケイデンスからの技術説明のセッション7件でプログラムを構成しました。
ローム株式会社の中嶋様からは、「ISO 26262 規格対応と故障注入Simulationのテクニック」のタイトルで、ISO26262の半導体を対象とした適用についてご講演いただきました。機能安全の基礎およびISO26262のハードウェア/半導体開発視点での留意事項をイントロダクションとして解説いただいた後、ローム様でのISO26262への取り組みをシェアいただきました。その後、ISO26262準拠の半導体開発において重要な技術である故障注入シミュレーションについて、統計的手法による故障注入シミュレーション時間の短縮手法や、安全・非安全の分類が故障注入シミュレーションだけでは困難な故障についてフォーマル検証JasperGold®を併用することで対処する方法、弊社の新故障注入シミュレーションが従来比数百倍の高速化となった評価結果などをご紹介いただきました。いままでもCDNLive Japanでご発表いただいていた内容の集大成となるご講演であり、会社としてASIL-Dのプロセス認証を既に取得されている貫録を十分に示していただきました。
ルネサス エレクトロニクス株式会社の増田様からは、「ひと工夫で課題解決! 生産性と再利用性を両立するためのUVM活用術」と題して、検証メソドロジ標準であるUVM(Universal Verification Methodology)の適用における諸困難とその回避策についてご講演いただきました。検証言語と検証メソドロジの関連性や標準化されたUVMについての解説をイントロダクションとして、本来であれば不可分であるカバレッジドリブン/メトリクスドリブン検証とUVMを、UVMの導入障壁を下げるためにダイレクト検証のままでもUVMへの移行を実現できるステップを盛り込んだ社内UVMメソドロジ導入の実績と、MCU開発という現実の状況に則したガイドラインの事例をご紹介いただきました。更に、標準化の観点から前進するためのIEEE 1800.2への準拠についての心得についてもご説明いただき、これらのメソドロジをいかにXcelium™などのケイデンスソリューションの上で効率化するかを解説いただきました。
株式会社エヌエスアイテクスの岡様からは、「ケイデンス検証ソリューションを活用した検証効率10倍化」として、新規設計における検証工数増大をいかに防いだかについてご講演いただきました。すべて新規設計のMIMD型プロセッサという検証観点から困難な対象に対し、フォーマル検証と機能シミュレーションを適材適所で使い分ける基本方針のもと、仕様書-検証項目-検証結果の三者を一元管理するプロセスを確立することで、困難な検証を完遂された事例をご紹介いただきました。ケイデンスのフォーマル検証ソリューションJasperGoldを活用した網羅的検証の実施による、競合する要因の組み合わせの洗い出し工程そのものとそれに基づくテストパタン作成工数の大幅削減や、CSR Appでのレジスタ検証パタン作成作業の不要化などによる検証期間短縮の効果、および、ケイデンスの検証プロジェクト管理ソリューションvManager™を使用したトレーサビリティ確保やリグレッション実行から集計までの自動化の効果についてご説明いただきました。
ケイデンスからは、検証R&DのLawrence Lohによる「Addressing Verification Challenge by Balancing Innovations and Incremental Enhancement」というタイトルで講演させていただき、早期から進めさせていただいているお客様との密なコラボレーションがプロジェクト成功の一つのカギであることを申し上げ、他にもケイデンスが提供する、機能安全、検証IP、デバッグ、ハードウェア・エミュレータ、プロトタイピング、検証プロジェクト管理、フォーマル検証など各ソリューションについてご説明いたしました。
11月27日には、フォーマル検証に特化したセミナーも予定しておりますので、是非ともご参加いただけますようお願いいたします。
テクノロジーセールスリード
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後藤 謙治
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