高速Layout Viewerから始める設計効率化
~Cadence QuickViewを中心としたGUI I/Fのご紹介~
Cadence QuickViewとは?
The Cadence® QuickView Layout and Manufacturing Data Viewer(以下QuickView)は、種々のデータフォーマットに対応した使い易い高性能のデータ表示ツールです。データフォーマット毎にモジュールが準備されており、複数のフォーマットを同時に読み込み、容易に重ね合わせて表示することが可能です。
一つのウィンドウ上に複数のGDSIIデータとMEBESデータなどのマスクデータをオフセット、倍率、回転やミラーリングを指定して表示することが出来ます。また図形の測長、セル情報や階層情報の出力、セルやテキストの検索など豊富な解析機能も併せ持っています。 2003年にK2 Technologies, IncがCadence Design Systemsに参画し、QuickViewはTape-Outや製造工程およびその周辺工程をサポートするために開発が続けられてきました。
図1: QuickView GUI interface
近年Tape-Outグループからのニーズに重点を置いて開発が進められ成長してきました。プロセスノードが進むにつれてTape-Outグループが扱うデータの大きさも劇的に増加し、マスクショップとのやり取りで用いられる大規模データをより高速に表示する必要性が高まりました。QuickViewはGDSIIおよびMEBESの大規模データに対する読み込み速度向上に注力すると同時に、OASISなどの新しいデータフォーマットのサポートにも取り組んできました。
性能向上に加えて、QuickViewは他のCadenceツールとのつながりにも力を入れてきました。一例としてQuickViewのGUIインターフェースからCadence PVS DRC Debuggerを起動しGDSIIやOASISの大規模データに対して、DRC結果の表示や解析、またPVSを通してデータベース間のXORを実行することが可能になりました。それに伴いQuickViewのGUIインターフェースも他のCadenceツールと同様にQTベースのGUIに再設計されました。
図2: GDSII読み込み性能例
Sign-off工程への拡張
数年来データサイズの爆発的な増大傾向が製造工程のみならず上流の設計工程においても見受けられるようになりました。この間QuickViewは従来からのTape-Outグループからのニーズに加え、上流の設計工程からの高まるニーズに応えるため開発を進めてきました。Cadence QuickViewは先進的な設計および解析工程に対応する新たな機能を提供します。
LEF/DEFデータ表示機能
- LEF/DEFデータを表示し解析することが出来ます。
- 表示したLEF/DEFデータをGDSIIやOASISデータと重ね合わせて表示することが出来ます。
- 図形情報及びネット情報を調べることが出来ます。
- ネットをハイライト表示したり、長さを計測することが出来ます。
図3: GDSIIとLEF/DEFの重ね合わせ表示
GDSII/OASISデータ上でのネットハイライト機能
- レイヤ間の接続情報を定義することで、接続されている図形をハイライト表示することが出来ます。
- 2点間の接続経路の長さを計測することが出来ます。
- 接続されている図形を新たなGDSIIデータとして保存することが出来ます。
図4: ネットハイライト機能
GDSII/OASISデータ合成および変換機能
- 設計データにDummy Fillなどのデータを合成して一つのデータベースを作成することが出来ます。
- GDSIIデータをOASISデータに変換、およびOASISデータをGDSIIデータに変換することが出来ます。
- GDSIIデータ中の図形を別のGDSIIデータ中の図形と入れ替えることが出来ます。
図5: データベースの合成
Cross Section Views
- GDSII/OASISデータに対して、各レイヤの基準高さと厚さを定義することで、断面図を表示することが出来ます。
図6: Cross Section Views
Quick ViewとInnovusの統合環境
Advanced NodeのDRCは、年々、複雑になっており、インプリメンテーションを行う際にもバックエンド、フロントエンド層が密接に関わっておりケアが必要になります。PVツールでDRC違反が発生した場合、インプリメンテーションツールで、セルabstractレベルで、解析を行っても原因が特定しにくく、セルlayoutレベルの情報を確認しながらの解析が必要な場合があります。この解析時に、デザインレイアウトデータ(GDS/OASIS)をViewerで確認しながら、インプリメンテーションツール上で違反修正をする事は、双方のGUI操作が必要なため多くの工数を要します。Quick ViewとInnovusの統合環境を使えば、この工数を大幅に削減出来ます。
- Innovus, Quick Viewの双方のGUIがシンクロナイズしてzoom、panするため、双方のデータ特性を活かしつつ、DRC違反のデバッグ、修正が容易に可能。
- 双方のオブジェクトのレイヤーカラー、パターン、名前を一致させる事で、GUI操作が容易に可能。
- Quick Viewの起動、データの受け渡しはInnovusをコクピットとして操作出来るため、面倒なセットアップは不要。
これらの新機能によりCadence QuickViewは、Tape-outや製造工程のみならずより上流の半導体設計工程へと活躍の場を広げています。今後も高まる市場ニーズに応えるため更なる開発を進めてまいります。
フィールドエンジニアリング&サービス本部
高橋 秀行
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