概要

Cadence® AWR® ソフトウェア製品は、革新的なユーザ・インターフェースとデザイン・エントリ、シミュレーション、物理設計ツールの完全な統合により、モノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)のフロント・ツー・バック設計フローをリードし、エンジニアリングの生産性を向上させ、ファーストパスの成功を確実にするものです。ガリウムヒ素(GaAs)や窒化ガリウム(GaN)などのIII-V半導体デバイスは、モバイルデバイス、通信インフラストラクチャ、航空宇宙アプリケーションに優れたRF性能を提供します。GaAs または GaN のヘテロ接合バイポーラトランジスタ (HBT) および高電子移動度トランジスタ (HEMT) デバイスを利用する MMIC は、信頼性の高い回路解析、電磁界 (EM) 検証、通信テストベンチ、電気設計を物理的実現に結び付ける設計フローを通じて最適の 性能を実現します。

主な利点

  • プロセス固有のモデルと EM を考慮したレイアウトパラメータ化セル (PCell) を使用した強力な設計入力
  • 高精度、高速、堅牢なハーモニックバランス(HB)解析
  • III-V 族半導体ファウンドリ向けのプロセス設計キット (PDK)
  • 相互接続モデリングのための自動回路抽出 (ACE) 技術
  • オンチップ部品と相互接続の設計検証と寄生抽出のための完全に統合された 3D 平面 EM シミュレータ
  • バンプ、ボンドワイヤ、リボンの解析用に完全に統合された 3DEM シミュレータ
  • サーキットエンベロープ解析と無線規格検証のためのシステム協調解析
  • 電気的ルールチェック (ERC)、デザインルールチェック (DRC)、およびレイアウト対回路図 (LVS) は、量産対応の GDSII 出力をサポートしています。

ハイライト

  • 設計入力および管理:
    MMIC は、オンチップの受動部品の回路内に能動デバイスを統合して、期待される性能に対して必要な機能を提供します。電気的動作は、チップ全体のレイアウトだけでなく、個々のオンチップの部品の物理的属性にも直接関係しています。包括的な MMIC 設計フローは、正確な解析をサポートするパラメトリックなプロセス固有のオンチップの部品モデルとレイアウト PCellを提供することで、ファウンドリ製造ルールに準拠したレイアウトを提供します。設計の自動化と強力なスクリプトにより、MMIC 設計者は手動による設計作業や過剰なデータのインポート/エクスポートを排除し、あらゆる特別な設計上の考慮事項に応じたツールのカスタマイズをサポートすることで、生産性を向上させることができます。
  • RF フロントエンドアプリケーションの解析:
    RF/マイクロ波エレクトロニクスは、雑音指数 (NF) や S パラメータ、大信号入力に対する非線形電力、ゲイン圧縮、効率応答などの特殊な測定に依存しています。RF 解析では、周波数領域の HB 解析を使用して、パワーアンプ (PA) や周波数コンバータ (ミキサ) などの非線形回路を解析します。通信システムのデジタル変調では、設計者はサーキットエンベロープ技術を使用して MMIC を解析し、隣接チャネル電力比 (ACPR) やエラーベクトル振幅 (EVM) などの性能を解析する必要がある場合もあります。
  • 大手ファウンドリによるモデルサポート:
    GaAs、GaN、およびシリコンゲルマニウム (SiGe) 半導体は、通信およびレーダーアプリケーション向けのより高いミリ波 (mmWave) 周波数で動作する MMIC をサポートするために進化し続けていると同時に、すべての周波数にわたって性能の向上も実現しています。Cadence などのソフトウェアベンダーは、主要な III-V 族半導体ファウンドリやロードプルテストシステムメーカーと緊密に連携して、最新のデバイスが堅牢で解析に対応するモデルを設計に提供できるようにする必要があります。
  • 設計検証:
    MMIC設計者は、RFを考慮した回路解析および周波数依存の伝送線路モデルとともに回路/EM協調解析を利用して、寄生成分の抽出と設計検証を行います。階層的なEM/回路/システムの協調解析により、設計者はテープアウトの前にEM解析を実行して、有害な寄生結合と共振をとらえて修正できます。 

III-V とMMICの設計

Cadence AWR ソフトウェアおよびシステム解析製品は、通信およびレーダーアプリケーション向けにクラス最高の設計入力/管理、RF回路解析、EM/熱解析、システム協調解析/検証でフロントツーバックの MMIC 開発に対応します。

AWR Design Environment
AWR Design Environment® プラットフォームは、RF/マイクロ波エンジニアが製造の準備ができた物理的に実現可能な電子機器を開発するための統合された高周波回路、システム、EM 解析技術と設計自動化を提供します。

AWR Microwave Office
AWR Microwave Office® 回路設計ソフトウェアは、直感的なインターフェイス、革新的な設計自動化、強力な HB 回路解析を提供し、エンジニアリングの生産性の向上と設計サイクルの加速を保証します。

AWR Visual System Simulator
AWR Visual System Simulator™ (VSS) RF/無線通信およびレーダーシステム設計ソフトウェアは、電圧定在波比 (VSWR) を考慮した RF およびデジタル信号処理ブロックのモデリングをサポートし、時間領域、周波数領域、およびサーキットエンベロープ解析を提供します。事前構成および/またはカスタマイズされたシステムのテストベンチを使用した解析により、無線規格固有の変調波形下で動作する PCB の ACPR、BER、EVM を解析できます。

AWR AXIEM
AWR AXIEM®3D の独自のフルウェーブ平面 EM シミュレータは、分布乗数型 PCB 部品、伝送線路、ビアなどの層間 PCB 相互接続を容易に解析するモーメント法 (MoM) 高速ソルバー技術を活用しています。設計者は、PCB設計の中で直接Sパラメータを抽出し、場や電流を可視化することで、寄生結合や共振を特定することができます。

Clarity 3DSolver
業界をリードするCadenceの分散マルチプロセッシング技術により、有限要素法 (FEM)/有限差分時間領域 (FDTD) Clarity™ 3D ソルバが、事実上無制限の容量と、これらの大規模で複雑な構造に効率的かつ効果的に対処するために必要な 10 倍の速度を実現できます。これは、RF/マイクロ波、シグナルインテグリティ(SI)、パワーインテグリティ(PI)、電磁適合性(EMC)などの解析に使用できる高精度のSパラメータモデルを作成します。

Celsius Thermal Solver
Celsius™ Thermal Solver は、電気技術者向けに設計された初の熱解析技術です。これは、MMIC 向けの完全な電熱協調解析技術を提供します。Celsius Thermal Solver は AWR Design Environment プラットフォーム内に統合されており、大規模で高密度のRF/マイクロ波システムおよび高出力アンプの設計検証およびサインオフのための大容量電熱解析への容易なアクセスを提供します。

MMIC のレイアウトツール

AWR Design Environment および Cadence® Virtuoso®プラットフォームを組み合わせることで、革新的な無線設計が実現します。包括的で強力かつ使いやすいツール群により、シンプルなプロジェクトから複雑なプロジェクトまで難なくこなすことができます。

製造向け設計 (DFM) は AWR ソフトウェアプラットフォームに組み込まれており、ファウンドリに認定されている PDK でプロセス固有の金属線路とオンチップ部品に対して正確なモデリングを提供しています。GDSII レイアウトファイルの出力は、専用の製造ツールへの設計情報の転送をサポートします。主要なMMICファウンドリと協力して開発されたPDKは、AWR Design Environment ソフトウェアを使用するエンジニアに、回路図、スケーラブルなレイアウトPCell、高度なレイアウト機能および接続チェック/ハイライト機能を提供します。

業界をリードする Virtuoso カスタムIC レイアウト設計ツールは、物理レイアウト実装の生産性を加速し、高品質かつ差別化されたシリコンのより迅速な設計の収束を実現します。Virtuosoレイアウト設計ツールは、アナログ、デジタル、RF、ミックスシグナルの完全なカスタム設計を、デバイス、セル、ブロック、チップレベルでサポートします。

Virtuoso レイアウト設計ツールの機能は相互に段階的に構築され、ますます複雑になる設計の管理を支援します。

  • 高度なフルカスタムポリゴン編集
  • フルカスタムレイアウト
  • 柔軟な回路図ベースのレイアウト
  • 物理的コンストレイント・ドリブン・レイアウト
  • 電気的コンストレイント・ドリブン・レイアウト
  • アシスト・フルカスタムレイアウト
  • 自動化フルカスタムレイアウト