Thésée DataCenter社とケイデンス

コロケーションDCプロバイダ Thésée DataCenter社<br />双方向で運用管理が可能な「データセンターのデジタルツイン」を導入

ハイライト

適用範囲

  • コロケーションデータセンタの設計と運用管理

ソフトウェア

  • Cadence Reality DC Digital Twin

利点

  • データセンタの設計を微調整し、設計限界を見極めることで、意欲的なエネルギー性能目標を達成
  • 運用上の意思決定の要として、シミュレーションを用いたホワイトスペース構成の最適化
  • 低密度と高密度のラックを近接して配置した場合のサーバルームの熱的傾向を調査
  • 機器の新規追加など、データセンターの変更に伴う影響を確認し、パフォーマンスを最大化
  • プリセールスとキャパシティプランニングの両方で、顧客がシナリオ解析を検証

課題

データセンタの二酸化炭素排出量や電力消費量が環境に与える影響について、地球環境レベルで懸念の声が上がっています。より多くのデータや演算能力が必要となる中、データセンター業界にとっては、環境に配慮しながらそのニーズに応えることができる「適切な選択」が重要です。

Thésée DataCenter社は、フランスで初めてTier IV Uptime認定コロケーションデータセンターを設立するだけでなく、「環境に配慮したエネルギー効率の高いデータセンタ」と「インタラクティブな顧客体験」の両方を実現したいと考えていました。これらの目標を考慮し、Thésée DataCenter社は以下を達成する必要がありました。

  • 99.995%の稼働率
  • 全ての要素に冗長性を確保
  • キャパシティ利用率を最大化
  • 費用対効果の高いエネルギー効率を実現
  • 顧客向けの魅力的なWebポータルサービスを構築

Thésée DataCenter社の提供する6棟のデータセンタはそれぞれ534m2 のデータホール2部屋で構成されています。このデータホールは、3段階のキャパシティ(1MW、2MW、3MW)に分けて稼働を開始しました。レガシーからクラウド、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)に至るまで異なる密度に対応可能なスペースの提供に特化すると同時に環境への影響を最小限に抑え、高いエネルギー効率とパフォーマンスを発揮することを目指しています。

解決策

Thésée DataCenter社は、Hewlett Packard Enterprise社(以下HPE社)と契約し、新しいデータセンターの設計・構築のPMO(Project Management Office)として、検証を担当しました。顧客は、New Generation社のWebポータルサイト「NUVEA PaaS」にアクセスし、データセンター内の状況をリアルタイムで把握することができます。このポータルサイトには、Cadence Reality DC Digital Twin(旧 6SigmaDCX)やビル管理システム(BMS)からの情報が反映されています。Thésée DataCenter社はデータセンターの設計段階からCFD解析を使用して意思決定を行い運用管理でも継続的に使用してパフォーマンス最大化を目指しました。

Thésée DataCenter社のデータセンターは、高い安定性と耐障害性に優れた設計となっています。必要なキャパシティが増加しても、モジュール設計のコンセプトに基づきデータセンター全体を構築しているため、コロケーションプロバイダは混乱することなく迅速に規模を拡大することができます。

顧客それぞれのラック密度に対応するだけでなく、Tier IV認証の高い可用性を実現するため、次のような3段階の冷却ソリューションが採用されました。

  • 主な冷却源としての間接冷却方式
  • 純水を作るための浄水装置を備えた断熱システム
  • より冷却が必要な場合やバックアップとしての冷却水システム

 

Cadence Reality DC Digital Twinを使うことで、インフラの「実際のキャパシティを把握」、「新しいプロジェクトの影響を予測」、「プリセールスのプロジェクトに最適な場所を検証し提案」できます。またこれらは敷地の有効活用に繋がります。
Thésée DataCenter社
Christophe Bouniol氏

データセンターのニーズや外部の温度条件に応じて、この3段階の冷却が行われます。このシステムでは、個別に制御可能な6つのAHUを使用する予定です。つまり、データセンターの異なる場所で、それぞれに合う冷却技術を同時に運用できるのです。

Thésée DataCenter社は、この拡張性の高い設計と環境に配慮した冷却ソリューションを、「統合データセンター管理システム(DCMS)」と組み合わせ、顧客のニーズに対応しています。

顧客がデータセンターを運用管理する上で必要な情報はすべてWebポータルサイト上で確認できます。ログイン後、顧客に合わせ必要な情報が表示されるダッシュボードやカスタマイズ可能なレポートを確認できます。

また、このWebポータルサイトでは、ビル管理システム (BMS)と緊密な連携により、イベントやアラームシステムも管理されます。顧客は、事前にマーケットプレイスにアクセスし、カタログからサービスを依頼/注文できます。依頼/注文内容の確定後、データセンターのデジタルツイン(データセンターを精度良くデジタル空間上で再現したもの)で可視化することができます。

DataCenter Digital TwinはDCMSと完全に統合されています。これによりCFD解析を用いて、スペースを最大限に活用しながらIT機器の拡張を計画し、電力を管理することが可能になります。

Thésée DataCenter社は、顧客にできるだけ透明性が高く、インタラクティブな体験を保証したいと考えています。コロケーションデータセンターを使用する顧客が、リアルタイムで高い水準の可視性と機能性を得られるのは珍しいことです。

まとめ

Uptime Institute社のTier IV認証を取得しているコロケーションデータセンターであるThésée DataCenter社は、DataCenter Digital TwinをDCMSに組み込み、インタラクティブで実際に現場にいるかのようなユーザ体験を保証しています。Thésée DataCenter社は、電力、冷却能力、重量、キャパシティ管理を最適化するために、このソリューションを使い続けています。これによりIT機器の導入時にコロケーションデータセンターとその顧客は十分な情報に基づいた意思決定を行うことができます。

データセンター業界には、今後大きな変化が予想されます。可用性を維持し、高密度化に対応ながら、厳しい二酸化炭素の排出量削減目標を満たすことができるかが重要です。Thésée DataCenter社は、Cadence DataCenter Digital Twinを活用することで、上記を効果的に実施できております。

本事例の全容は動画でご覧ください。


 

Cadence DataCenter Digital Twinは、私たちが自ら定義したパフォーマンスと可用性を達成するために不可欠な設計・運用ツールです。
Thésée DataCenter社
Christophe Bouniol氏