ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社 米国カリフォルニア州サンノゼ市、以下ケイデンス)のCadence Molecular Sciences (OpenEye)部門は、米国時間12月7日、将来のパンデミックを防ぐための抗ウイルス薬を迅速に開発する革新的な取り組みを支援するため、オープンサイエンスの原則に基づいて運営されるAI-driven Structure-enabled Antiviral Platform(ASAP) Discovery ConsortiumにOpenEyeの分子設計ソフトウェア製品を提供することを発表しました。
ASAP Discovery Consortiumでは、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)の所長であるJohn D. Chodera博士が陣頭指揮を取り計算化学研究者やソフトウェア開発者とともにASAPをサポートする計算化学インフラを構築しています。
Cadence Molecular Sciencesコメント
Anthony Nicholls, PhD (Corporate Vice President, OpenEye, Cadence Molecular Sciences)
「Chodera博士と、博士と共に研究を行うASAP Discovery Consortiumの科学者は、ASAPでの抗ウイルス薬の創薬研究を加速するために、OpenEyeの製品群を活用できるようになりました。OpenEye のソフトウェアが、研究が遅れている疾病に対する治療法を進歩させ、パンデミックへの備えに貢献できると確信しています。」
OpenEye のアプリケーション、ツールキット、Orion® プラットフォームには、ROCS®、FastROCS™、BROOD、OMEGA、OEChemTK、Grapheme™、Nonesquilibrium Switching (NES) 自由エネルギー計算などのツールが含まれ、ASAP Discovery Consortium と連携する計算化学研究者は、その技術、構造生物学、人工知能 (AI)、機械学習と計算化学手法を駆使して信頼性の高い抗ウイルス創薬プロセスを構築することができます。
Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)コメント
John D. Chodera, PhDLab Head
「将来のパンデミックに対するオープンサイエンスモデルでの創薬の取り組みは、必要不可欠な公共サービスです。この取り組みにおいて、業界をリードするOpenEyeのソフトウェアが利用できることを嬉しく思います。OpenEye のToolkitは、長い間、我々のコンピュータ支援創薬基盤のバックボーンでした。Orion NES 自由エネルギー計算ワークフローを使えば、わずか数時間で自由エネルギー計算を実行することができます。」
ASAP Discovery Consortiumは、パンデミックの危惧がある病原体のためのAntiviral Drug Discovery(AViDD)U19 Centerの一つで、National Institutes of Health(NIH)の下部組織であるNational Institute of Allergy and Infectious Diseases(NIAID)より、Antiviral Program for Pandemics(APP)の一環である6,800万ドルの助成金を受けて研究を進めています。
NIHの助成金は、ASAP Discovery Consortiumの最初の3年間のフェーズに対するもので、進行中のパンデミックや新たなパンデミックの脅威が発生した際、人において評価可能な複数の創薬候補を供給することを目的としています。このプロジェクトは、抗ウイルス薬への世界的で公平かつ安価なアクセスを優先するオープンサイエンスモデルを最大限に活用し、迅速かつオープンに共有される豊富な抗ウイルスデータを創出します。
ASAP Discovery Consortiumは、2020年3月に発足し、SARS-CoV-2ウイルスの主要プロテアーゼを標的とする強力な抗ウイルス薬を迅速に開発した世界的なオープンサイエンス共同研究であるCOVID Moonshotの成功を基盤としています。2021年7月、MoonshotはWellcome Trustから1,100万ドルの資金提供を受け、世界保健機関(WHO)のAccess to COVID Tools Accelerator(ACT-A)を通じて前臨床プログラムを加速させ、Drugs for Neglected Diseases Initiative(DNDi)と協力して直接ジェネリックとして提供するモデルによる臨床試験を進めています。
ASAP Discovery Consortiumは、John Chodera氏(MSKCC)、Alpha Lee氏(PostEra)、 Peter Sjö(DNDi)が中心となって活動しています。ASAP Discovery Consortiumのパートナーには、Diamond Light Source(英国)、Weizmann Institute of Science(イスラエル)、Medchemica(英国)、Mount Sinai(米国)、Stanford University School of Medicine(米国)、Fred Hutchinson Cancer Center(米国)が含まれ、また世界中の科学者および産業関係者との幅広いグローバルネットワークも構築しています。
ASAP Discovery Consortiumについて
AI主導によるStructure-enabled Antiviral Platform (ASAP) Discovery Consortiumは、人工知能と計算化学を用いて、構造ベースのオープンサイエンスによる抗ウイルス薬の発見を加速し、世界的で公平かつ安価な利用を目指して、パンデミックに対する経口抗ウイルス薬を開発しています。疾患と創薬ターゲットの全リスト、作成した全オープンデータなど、ASAPの詳細については、https://asapdiscovery.orgをご覧ください。
ケイデンスについて
ケイデンスは30年以上にわたり蓄積してきた演算処理ソフトウェア(computational software)の専門知識を基盤とする電子システム設計業界のリーダーです。Intelligent System Design戦略のもと、設計コンセプトを実現するためのソフトウェア、ハードウェア、IPを提供しています。ケイデンスのお客様は、世界で最も革新的な企業であり、ハイパースケールコンピューティング、5G通信、自動車、モバイル、航空宇宙、コンシューマー、産業向け、ヘルスケアなど成長市場において開発される様々なアプリケーションに向けて、チップからボード、システムに至るまで、卓越した電子製品を提供しています。フォーチュン誌は9年連続で、ケイデンス社を「働きがいのある会社ベスト100」に選出しています。ケイデンスに関する詳細についてはcadence.comをご参照ください。
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