ケイデンス、GlobalFoundries、Hoerzentrum Oldenburg、 ライプニッツ大学ハノーバー校が補聴器技術の進歩に向けて協業
19 Jul 2023
要旨:
- ケイデンスのTensilica Fusion G6 DSPとXtensa LX7プロセッサ、デジタル設計フルフロー、GlobalFoundriesの22FDXプラットフォームが、世界初の両耳補聴用SoCプロトタイプを実現
- 新しいSmartHeAP SoCプロトタイプにより、音声処理を最適化し、周囲の雑音を低減する補聴器の開発が可能に
ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社 米国カリフォルニア州サンノゼ市、以下ケイデンス)は、7月18日(米国時間)、GlobalFoundries(以下GF)、Hoerzentrum Oldenburg、ライプニッツ大学ハノーバー校で構成されるコンソーシアムとの共同開発に成功し、業界初の両耳補聴器向けシステムオンチップ(SoC)プロトタイプの開発に成功したことを発表しました。本プロトタイプは、高位言語でプログラムすることができ、音声処理を最適化し、同時に周囲の雑音を低減する補聴器を作ることが可能になります。Smart Hearing Aid Processor (SmartHeAP) と呼ばれるこの新しいSoCは、ケイデンスの Tensilica® Fusion G6 DSPとTensilica Xtensa® LX7プロセッサ、デジタル設計フルフロー、GF 22FDX®プラットフォームをベースに開発されました。SmartHeAP開発プロジェクトは、ドイツ連邦教育研究省の助成金16ES0760を受けています。
SmartHeAP SoCプロトタイプは、補聴器メーカーに、装用者の聴力を改善する補聴器の作成と再プログラムに必要なすべてのコンポーネントを提供します。SmartHeAP SoCプロトタイプの主な利点は以下の通りです:
- 両耳連動聴力技術: 右耳と左耳の補聴器が互いに通信することで、バイノーラル・キュー (binaural cue) を破壊することなく、聴覚の全領域から音を拾うことが可能
- 難聴補正機能の向上: 高度なアルゴリズムにより、SoCが入力信号を自動的に分析し、装着者固有の聴覚ニーズに合わせてカスタマイズされた適応型音響増幅を提供
- 高い処理能力を最小限の消費電力で実現: 補聴器装用者にリアルタイムで最適な音質を提供し、同時に電力を節約し補聴器の電池寿命を延長
- コスト削減: ハードウェアを交換することなく、補聴器ソフトウェアを容易にアップグレードすることができるので、装用者と補聴器会社の双方のコストを削減
- タイムトゥマーケット短縮: 高位言語によるプログラミングの容易性により技術革新のサイクルを加速し、あらゆる規模の補聴器メーカーが効果的に市場で競争することが可能
Tensilica Fusion G6 DSPは、低消費電力で、実装面積が小さく、即座に優れた性能を発揮する、プログラミングが容易な多目的DSPなので、SmartHeAP SoCの開発においては論理的な選択でした。Tensilica Xtensa LX7プロセッサは、制御負荷の高いタスクに向けて設計されており、フットプリントが小さく、デザインの性能、柔軟性、寿命を向上します。ケイデンスのデジタル設計フルフローは、最適な消費電力、性能、面積(PPA)を実現しながら、設計クロージャーへの高速パスを提供し、設計の予測性を向上します。さらに、GF 22FDXプラットフォームは、0.5V VDD以下の超低電圧で動作する補聴器などのバッテリー駆動デバイスの消費電力を削減するためにカギとなるアダプティブ・ボディ・バイアス(ABB)機能により、同じ高性能周波数(対28nm)で最大50%の消費電力削減を実現しました。
ケイデンス・コメント
Rishi Chugh(vice president, product management in the IP Group)
「GF、Hoerzentrum Oldenburg、ライプニッツ大学ハノーバー校とのSmartHeAP SoCプロトタイプに関する協業による私たちの研究と技術の進歩は聴覚体験を向上させています。関係する各組織は、このプロジェクトに独自の視点を持ち寄り、最終的な成果として、聴覚体験にポジティブな影響を与えることができるプロトタイプの開発を成功させたことができました。ケイデンスのデジタル設計フルフローとTensilica Fusion G6 DSP、 Xtensa LX7コントローラは、このプロジェクトのベースとなるもので、コンソーシアムには既に補聴器業界からプロトタイプに対する高い関心を寄せられています。」
Tensilica Fusion G6 DSPとXtensa LX7プロセッサ、そしてデジタル設計フルフローは、ケイデンスのIntelligent System Design ™戦略をサポートし、卓越したSoC設計を可能にします。
Tensilica IPの詳細については、www.cadence.com/go/tensilicash をご参照ください。
デジタル設計フルフローの詳細については、www.cadence.com/go/digitalffsh をご参照ください。
GF 22FDX platformの詳細については、gf.com/technology-platforms をご参照ください。
SmartHeAPシステムの詳細については、
https://www.elektronikforschung.de/projekte/smartheap をご参照ください。
コンソーシアム各社コメント
GlobalFoundries社コメント
Ted Letavic氏 (corporate fellow)
「GF、ケイデンス、Hoerzentrum Oldenburg、ライプニッツ大学ハノーバー校とのコラボレーションにより、消費電力を大幅に削減しながら、補聴器装用者の聴覚シーンの音声処理を革新する世界初の両耳視聴技術を提供する補聴器向けSoCの開発に成功しました。ケイデンスのTensilica DSPとデジタル設計フルフローの技術を22FDXプラットフォームのエネルギー効率と組み合わせることで、我々は競争力の高いPPAの結果をもたらしました。」
Hoerzentrum Oldenburg社コメント
Dr. Kamil Adiloğlu氏, research engineer
「Hoerzentrum Oldenburg社は、学際的かつ需要志向の高い聴覚研究、顧客志向のサービス、市場志向意識した製品開発をユニークに組み合わせた開発を推進しています。これまでにも数多くの革新的な方法をメディカル向け製品の開発に適用し、市場に送り出すことに成功してきました。そしてケイデンス、GF、ライプニッツ大学ハノーバー校との共同研究を通じて、補聴器技術の改良とカスタマイズに関する関連研究を進め、高度なアルゴリズムの開発に貢献しています。」
ライプニッツ大学ハノーバー校コメント
Holger Blume教授 (managing director, Institute for Microelectronic Systems)
「ライプニッツ大学ハノーバー校のマイクロエレクトロニクスシステム研究所(IMS)は、デジタル回路、アナログ回路、システムの設計と実装、および設計プロセスの自動化ツールの開発に重点を置いています。IMSは、Tensilicaの命令セットの拡張性をフルに活用し、強力で演算量の多いアルゴリズムをTensilicaアーキテクチャにマッピングする技術に関して長年に渡り蓄積してきた専門知識を持っています。Cadence、GF、Hoerzentrum Oldenburgとの協業により、我々はこの新しいSoCプロトタイプによって補聴器装用者に聴こえる喜びを取り戻します。」
ケイデンスについて
ケイデンスは30年以上にわたり蓄積してきた演算処理ソフトウェア(computational software)の専門知識を基盤とする電子システム設計業界のリーダーです。Intelligent System Design戦略のもと、設計コンセプトを実現するためのソフトウェア、ハードウェア、IPを提供しています。ケイデンスのお客様は、世界で最も革新的な企業であり、ハイパースケールコンピューティング、5G通信、自動車、モバイル、航空宇宙、コンシューマー、産業向け、ヘルスケアなど成長市場において開発される様々なアプリケーションに向けて、チップからボード、システムに至るまで、卓越した電子製品を提供しています。フォーチュン誌は9年連続で、ケイデンス社を「働きがいのある会社ベスト100」に選出しています。ケイデンスに関する詳細についてはcadence.comをご参照ください。
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