ケイデンス、次世代のヒアラブル、ウェアラブル、Always-ONデバイスのバッテリー持続時間を延ばし、ユーザーエクスペリエンスを向上
新製品Tensilica HiFi 1 DSP、最適なニューラルネットワーク機能をサポート、超低消費電力、コンパクトなフットプリントで音声や音楽の処理パフォーマンスを向上
Yokohama, 29 Oct 2021
ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社 米国カリフォルニア州サンノゼ市、以下、ケイデンス )は、10月28日(米国現地時間)、新製品Cadence® Tensilica® HiFi 1 DSPを発表しました。TWSイヤーバッズ、補聴器、Bluetoothヘッドセット、スマートウォッチ、その他ウェアラブル機器など、小型バッテリーデバイスにおいて画期的なオーディオ・ボイスイノベーションを実現し、ユーザーエクスペリエンスを向上します。HiFi 1 DSPの超低消費電力により、音声通信、音楽再生の持続時間を延ばし、バッテリー持続時間に与える影響を最小限に抑えながら音声コマンドの常時リスニングを可能にします。これにより、小型サイズで低コストのコンシューマーデバイス、モバイルデバイスのほか車載デバイス、産業デバイスを実現し、低消費電力で機能を向上させることが可能になります。
市場では、小型サイズで低消費電力のオーディオ・ボイス機能に対するニーズが増えています。ヒアラブルおよびウェアラブルデバイスにおいては、2020年にBluetooth Special Interest Group (SIG) により標準化されたLow Complexity Communications Codec (LC3) の採用が進んでいます。また、消費者はハンズフリーやタッチフリーコントロールを好んでおり、ボイスウェイクアップコマンドに応答するAlways-ON、または常時リスニングデバイスに対するニーズが増加しており、電化製品でもこれらの機能が採用されています。そして、これらのデバイスやアプリケーションを実現するには、小型であることやバッテリー持続時間が長いことが非常に重要です。
Fraunhofer IIS・コメント
Manfred Lutzky氏 (Head of Audio for Communications department)
「Fraunhoferにより共同発明されたLow Complexity Communication Codecs (LC3およびLC3plus)は、バッテリー制約のあるBluetoothデバイスの消費電力を最小限に抑えるのに役立ちます。Fraunhoferとケイデンスには、Tensilica HiFi DSPによってケイデンスが最適化してきたLC3/LC3plusを含むさまざまなコーデックに関して提携してきた長い歴史があります。その経験に基づき、LC3およびLC3plus向けに消費電力およびサイクルが最適化された新しいHiFi 1 DSPが開発されたことを嬉しく思います。HiFi 1 DSPはかつてないレベルでコーデックの超低消費電力化を実現し、小型バッテリーのヒアラブル、ウェアラブルデバイスの機能追加を容易にし、LC3およびLC3plusの導入の加速を支援します。」
HiFi 1 DSPは、LC3およびその他Bluetoothコーデックの再生、低消費電力な音声ウェイクアップのキーワードスポッティングを最小フットプリントのHiFi オーディオ・ボイスDSP IPで実現します。ターゲットアプリケーションにおけるHiFi3 DSPとの比較で、業界で最も普及しているオーディオDSPとして、HiFi 1 DSPは以下の機能を提供します。
- 設計エリアを11%から16%縮小
- マシンラーニングベースの「OK Google」キーワードスポッティングおよび人検出アプリケーションのサイクルおよびエネルギー効率を60%から73%向上
- LC3デコードのサイクル効率18%、エネルギー効率14%向上
Google社コメント
Pete Warden氏 (technical lead of TFLM)
「ケイデンスのHiFi 1 DSPは、TensorFlow Lite Micro (TFLM) ネットワーク、音声ウェイクワード、人検出など、常時稼働クラスのAIアプリケーションの実行に必要となる消費電力を大きく低減し、バッテリー制約のあるデバイスを長時間実行できるようになります。ケイデンスとGoogleはTFLMに関して長い間協業しており、ケイデンスは消費電力とパフォーマンスの限界をさらに押し上げており、引き続き協業できることを楽しみにしています。」
HiFi 1 DSPの特長と利点
- LC3エンコードおよびデコードの算術符号化を含む特殊命令により、Bluetooth LE Audio向けで最もエネルギー効率に優れているHiFi 1 DSP
- ITU-T3GPP-standardized 2019 BASOP向けの命令によりス音声コーデックを加速し、高いエネルギー効率で実行、通話時間を延長
- ニューラルネットワークISAおよびload/storeによりキーワードスポッティングやその他マシンラーニング処理を加速し、消費電力を低減するほか、メモリーアクセスが最適化されたISAによりキャッシュサイズが小さい場合にパフォーマンスを向上
- 効率的な信号処理により、オーディオ・スピーチ前処理/後処理の消費電力およびサイクルを低減
- オプションの低レイテンシーVFPU (ベクトル浮動小数点ユニット) が低い消費電力で高いFPスループットを実現
- ベクトルBOOLレジスターにより条件付きコードのエネルギー効率を向上
The Linley Group・コメント
Mike Demler氏 (Senior analyst)
「次世代のヒアラブルデバイスにおいては、より優れた実用性と利便性に加え、より高度な聴覚体験をユーザーに提供するために、インテリジェントなコンテキストアウェア、Always-ON処理が重要になっています。マシンラーニングと従来のDSPアルゴリズムの一体化により、この用途が広がっていますが、バッテリー持続時間と外形サイズを妥協することはできません。ケイデンスは、広く採用され支持されているオーディオ・ボイス・スピーチアプリケーション向けのTensilica HiFi DSPにより強力なリーダーシップの立場を確立しています。新しいHiFi 1 DSPは、エネルギーを重視するデザインでAI、コーデック、DSPパフォーマンスを超低消費電力レベルでうまく組み合わせ、これら広がりつつあるターゲットアプリケーションを小型デザインで実現することにより、さらに一歩先を行きます。」
ケイデンス・コメント
David Glasco (vice president of research and development for Tensilica IP)
「HiFi DSPは現世代のTWSイヤーバッズやBluetoothヘッドセットに広く採用されています。LC3の出現や広範な市場トレンドは、次世代ヒアラブルデバイスで優れたユーザーエクスペリエンスや長いバッテリー持続時間を実現するきっかけになりました。スピーチ、ボイスアルゴリズムの多くがAIに移行し、大きく拡大したTWSイヤーバッズの解析や優れた音質に向けたユースケースも見られます。小型HiFi 1 DSPは、これらの新しいユースケースを超低消費電力で実現し、これまではハイエンド製品の特権であった常時稼働や常時リスニング機能を大量市場に出すことが可能になります。」
提供時期
現在一般提供中のHiFi 1 DSPは、クラス最高のテクノロジーで卓越したSoC開発を可能とし、ケイデンスのIntelligent System Design™ 戦略を支えています。Tensilica HiFi 1 DSPに関する詳細については www.cadence.com/go/HiFi-1をご参照ください。
ケイデンスについて
ケイデンスは30年以上にわたり蓄積した演算ソフトウェア(computational software)の専門知識を基盤とする電子設計業界のリーダーです。Intelligent System Design戦略のもと、設計コンセプトを実現するためのソフトウェア、ハードウェア、IPを提供しています。ケイデンスのお客様は、世界で最も革新的な企業であり、コンシューマー、ハイパースケールコンピューティング、5G通信、自動車、モバイル、航空宇宙、産業、ヘルスケアなど、最もダイナミックな市場アプリケーションに向けて、チップからボード、システムに至るまで、卓越した電子製品を提供しています。フォーチュン誌は7年連続で、ケイデンス社を「働きがいのある会社ベスト100」に選出しています。ケイデンスに関する詳細についてはcadence.comをご参照ください。
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